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歯科経営
2024年12月23日

コンサルタントの視点から:「歯科医院の倒産、廃業の増加を考える」

1.はじめに

帝国データバンクの2024年11月6日付けプレス発表(図表参照)によれば、歯科医院の倒産廃業が10月までに計126件と過去最多ペースで進んでいるという。この要因を考えてみよう。

2.倒産、廃業で想定される要因 

① 売上の減少:地域によっては相変わらず過当競争である。家賃の高い駅前で開業し、高額の設備投資をしたものの、立地が悪くて集患できず自己破産に追い込まれるケースがある。

② 過剰投資:診療報酬改訂で、根管充填にCTやマイクロスコープの算定が入り、CAD/CAMインレーで光学印象が算定されたため、これらの機器をそろえる歯科医院が増えているが、患者数によっては投資回収が困難になるケースがある。また、老朽化した医院のリニューアルに想定予算の2倍以上の資金をかけてしまうケースがありがちである。

③ 人件費の高騰:研修終了1年目の歯科医師の賃金が40万円~50万円、3年目で年収800万円という募集条件も多く、歯科衛生士の人件費も高騰している。その結果、人件費比率が60%を超え、赤字に陥る医院もでている。

④ 経費の増大:多店舗展開型の歯科医院は、家賃と分院長の人件費、歯科衛生士の賃金、広域的に集患するための広告宣伝費、技工料などに追われて収益性が低くなりがちである。患者数や売上高が目標に達しなければ赤字経営となり、借入返済が経営を圧迫していく。

⑤ 新型コロナウイルスの影響:新型コロナの影響で十分な集患ができなくなった歯科医院で、コロナのゼロゼロ融資を運転資金に費消してしまい、返済のメドがたたなくなり倒産したり破産したりする歯科医院がでている。

⑥ 歯科医師の高齢化と後継者不在:歯科医院は設備の老朽化と歯科医師の高齢化に伴い、患者が減少し収益が悪化していく。事業継続をあきらめて閉院する歯科医院や、後継者不在の医院の廃業が増えている。

⑦ 治療中心の経営体質:う蝕が減少するなかで、う蝕処置の保険点数はここ10年ほとんど変わっていない。採算性の高い自費を増やすには設備投資や患者へのカウンセリングが必要になり、定期予防管理型歯科になるには歯科衛生士の採用が必要である。これらの変化への対応余力がなく廃業に至る医院が多いと考えられる。

⑧ 経営スキルの不足:患者獲得のためのマーケティング、スタッフマネジメント、自費増大対策や定期予防管理型歯科医院への転換など、経営管理を適切に行うことができず廃業に追い込まれる医院が多いと考えられる。

⑨ 医療DX化の影響:令和6年10月までに義務付けられているオンライン請求やマイナ保険による資格認証に対応できず、廃業を決めた歯科医院も多いとみられる。

3.まとめ

歯科医院の倒産・休廃業解散が増えているとはいえ、現状ではまだ大きな影響はないと考えられる。
厚生労働省の医療施設動態調査では令和6年9月の歯科診療所の施設数は66,384件で、倒産と休廃業が年間で150件を超えても全体の0.2%に過ぎず誤差のようなものである。
しかし、今後は少子高齢化の進行とともに減少のスピードがあがり、無歯科医地区や歯科診療の受診困難地域が増えていくと予想される。今から長期的な対策を考えておく必要があるだろう。  


執筆コンサル

木村  泰久

木村 泰久

(株)M&D医業経営研究所
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