病医院経営の今をお伝えするコラム
マーケティング・ヒント:「カスハラ対策を共有しよう」

1.はじめに
カスタマーハラスメント(略してカスハラ)とは、妥当性を欠く要求や、要求を実現するための手段などが「社会通念上不相当なもの」です。
具体的には、大声で怒鳴る、土下座や無料対応を強要する、プライベートなことをしつこく聞く、身体的な接触をするなどの行為です。
さらに歯科医院では、20分以上も苦情の電話で拘束される、特定の歯科医師やスタッフを何度も電話で呼び出す、「このぐらい当然でしょ」など過度な要求をする、SNSにクレームの投稿を繰り返す、直前の予約変更を繰り返す、予約取りや診療順序などで特別扱いを要求する、無断で歯科医師やスタッフを撮影する、などの行為もカスハラです。毅然と対処しましょう。東京ディズニーリゾートでもカスハラ対策を定め、必要に応じて警察への通報や法的措置を講じるとしています。
2.カスハラ対策のポイント
カスハラを受けたと感じたら、次のように対処しましょう。
① まずは落ち着いて対応する:あわてず、感情的にならず、落ち着いて対応しましょう。無理な要求を受けた場合も、相手のペースに巻き込まれず、「無理です」と明確に伝えましょう。
② 一人で対応しない:「おかしいな」と感じたら、すぐに他のスタッフや院長に助けを求めましょう。特に、大声や長時間のクレームがあったら、院長やチーフはターゲットになっているスタッフと交代して、相談コーナーなどにご案内しましょう(場所は決めておきましょう)。そして、相手より1名多い人数で正面に座り、患者さんの主張をお聞きましょう。そのうえで、「当院としても検討いたしますので、今日はお帰りください」と伝えて、次の日時を設定して帰宅させ、弁護士や警察に相談しましょう。
③ 記録を残す:時間・内容・相手の言動や言葉の内容など、できる範囲でメモしておきましょう。相手が強硬なときは、「大切なお話なので、院長に伝えるため録音させていただきますね」と伝えてICレコーダーやスマホで録音しましょう。録音することで相手の口調が穏やかになります。また、相手の主張を証拠として残すことで警察や弁護士と相談できるほか、院内で共有することで次回からスムーズに対応できます。
④ 無理な要求は毅然とお断りする:予約取りや診療順序などで特別扱いを求めてきた場合は、「そのようなご要望には対応したしかねます」と丁寧に、はっきりとお断りしましょう。それでも要求を繰り返すときは、「相談して参ります」と伝えて院長や主任に相談して、主任や先輩に対応を交代して伝えてもらいましょう。
⑤ 怖いと感じたらすぐ避難する:大声や暴力的な言動があれば、すぐに他のスタッフや院長に助けを求め、場合によっては警備員や警察を呼んでもらいましょう。
3.まとめ ~大切なのは歯科医師やスタッフを守ることです~
医院全体で「カスハラは許さない」という姿勢を共有し、歯科医師やスタッフが安心して働ける職場づくりを進めていきましょう。ただし、正当なクレームとカスハラの違いを冷静に判断する必要があります。
また、患者さんの権利にも配慮しながら対処する必要があります。カスハラ行為をしたことも患者さんの個人情報ですので漏洩しないように留意が必要です。