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歯科経営
2025年05月26日

コンサルタントの視点から:「ベースアップ評価料を算定しよう」

■1.はじめに

みなさんの歯科医院ではベースアップ評価料を算定していますか?

残念ながら算定していない医院が多いようです。
医療介護情報局の医療機関届出情報(地方厚生局)から抽出したところ、「歯外在ベⅠ」(歯科外来在宅ベースアップ評価料Ⅰ)を届け出ているのは、届出医療機関数66,021件に対して、15,726件(23.8%)という結果でした。約76%の歯科医院が算定していないわけで驚きの水準です。

やがて、次回の保険診療報酬改訂の中医協が開始されますが、歯科は「賃上げの原資に困っていない」とみなされる可能性があります。ぜひ、算定していただきたいと思います。

■2.ベースアップ評価料が設定された背景とは

「次回改定でベースアップ評価料が無くなるかもしれない」という声もあります。
ベースアップ評価料が設定された背景を考えてみましょう。

一つは、コロナ禍以降、医療従事者や介護職員の負担が大きくなり、職場の離職率が上昇して医療・介護分野の人手不足が深刻化してきたことです。この背景に、医療従事者の賃金水準が他産業に比べて低いという現実があります。

二つ目に、総合病院などにおける医師の時間外規制の問題があります。医師の長時間労働を医療クラークや看護師などの医療スタッフへの業務シフトによって軽減するために、医療人材を増やす必要があるのです。

このために国は、ベースアップ評価料で医療人材の賃金水準を向上させようとしているのです。
ベースアップ評価料では、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%の賃上げを目標としています(賃上げ水準の決定はそれぞれの医療機関に任されています)。この水準は、物価上昇や産業界の賃金水準の上昇率などを考慮したものです。そして、実際に賃上げを行った事業所にのみ評価料を支払う仕組みとして、制度の透明性と公平性を確保しようとしているのです。
このような背景から、ベースアップ評価料はそう簡単に廃止されないと考えられます。

■3.ベースアップ評価料算定のメリットとは

ベースアップ評価料を算定することで次のようなメリットが得られます。

①他産業とそん色ない賃金水準を提示できる。
大企業は30万円、中小企業でも25万円以上の初認給を提示する企業が増えています。ベースアップ評価料を歯科衛生士の首都圏の初任給26万円に加算すると、令和6年2.5%アップで6,500円、令和7年2%アップで5,200円、合計4.5%で11,700円になり、初任給が27万円以上になり、魅力ある水準にすることができます。ベテラン歯科衛生士の転職抑止にもつながると考えられます。

②算定しない医院と比べて採用面で有利になる。
ベースアップ評価料を算定すれば他医院より高めの賃金で募集でき採用面で有利になります。逆に、算定しなければ、スタッフの不満や転職リスクに直結する危険があります。

■4.まとめ

令和6年度補正予算で、ベースアップ評価料の施設基準を2025年3月31日までに届け出ている医療機関を対象として、「生産性向上・職場環境整備等支援事業」の一環で、1歯科医療機関ごとに18万円の給付金が支給されます。これは、算定していない歯科医院は、職員の処遇改善のための補助金は不要とされたということでしょう。

ベースアップ評価料は医科や介護との関連があるため、歯科だけが廃止されることはないと考えられます。しかし、歯科医院の多くが算定しなければ、国は「歯科はすでに十分な保険診療報酬を得ており、国家予算を投入する必要がないのではないか」と考え、歯科保険診療報酬の本体部分の改定率が下げられる可能性がでてきます。

令和7年1月から、「外来在宅ベースアップ評価料Ⅰ」のみを届け出る場合は、届出添付書類が大幅に簡素化されました。今からでも遅くありません。ぜひ、ベースアップ評価料の施設基準を申請していただきたいと思います。必ず、歯科医院にも働くスタッフ達にもメリットがあると思います。   

執筆コンサル

木村  泰久

木村 泰久

(株)M&D医業経営研究所
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