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診療(介護)報酬
2025年07月03日

改定に向けた論点を一気通貫で整理 ~2026年度改定に向けて一読をおすすめ~

2026年度診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会(以下、中医協)では議論が行われております。2025年6月25日に開催された中医協総会では、人口動態・医療需要の動向、医療提供施設および医療従事者の状況、医療提供体制に関する取り組みなどの観点から、現状の課題について総論的に整理されました。
これまで断片的に示されてきた資料を、一気通貫で俯瞰できる構成になっており、医療機関としても、コンサルタントとしても一度目を通しておく価値のある内容です。まだ総論的な話ではありますが、これだけまとめてもらえるのはありがたいと感じます。以下に部分的にはなりますが、抜粋させて頂きます。
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■人口動態と医療需要の変化

今後、我が国の人口は生産年齢人口を中心に減少する一方、85歳以上の高齢者は2040年頃まで増加が続くと見込まれています。しかし、高齢者人口も地域によって異なり、大都市では増加が予測されるものの、過疎地域では減少が予想されています。
こうした地域差が、医療提供体制の課題をより複雑にしています。特に、2040年に向けては85歳以上の高齢者の救急搬送が2020年比で約75%増加すると見込まれている一方で、多くの医療資源を要する手術件数は多くの地域で減少することが予測されています(図表)。
これらを踏まえると、今後は高齢者救急の受け皿機能の強化や、急性期機能の集約化が求められている状況も総論としては納得ができます。
一方、外来需要は全国的に減少傾向で、在宅医療や訪問看護のニーズが増加することが示唆されています。
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■医療従事者の動向

医師数は総数として増加していますが、地域偏在や診療科偏在が課題です。2008年と2020年を比較すると、リハビリテーション科や形成外科は1.5倍以上増加している一方、外科は横ばいという状況です。
看護職員は就業者数が増加し、特に40歳以上の看護職員が増えている傾向にあります(図表)。さらに、高齢の看護職員ほど介護保険施設などで働く割合が高いことから、看護師数の維持・確保のためには40歳以上の看護職員に病院で長く働いてもらう仕組みづくりが求められているのかもしれません。
その他の職種では、理学療法士と作業療法士が2005年と2023年を比べると約3倍に増加しており、これまでの改定の流れ、また回復期機能を持つ病院の増加と関連していることも一つ要因として想像されます。
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■これまでの医療提供体制の改革のおさらい

2040年に向けた医療提供体制の改革では、「新たな地域医療構想」や「医師偏在対策」などが2024年12月にまとめられました。新たな地域医療構想では「回復期機能」を見直し、高齢者等の急性期患者への対応を含めた「包括期機能」と位置づけています。また、2025年4月からは「かかりつけ医機能報告制度」も施行されました。
今後、手術件数の減少や急性期病床の稼働率低下により、病院経営に影響が及ぶことが予測されています。そのため、二次医療圏の広域化や病床・病院再編などの取り組みが進められています。
医療提供体制の課題は都市部と地方部で異なり、特に過疎地域では医師派遣、巡回診療、ICTの活用などを通じて、地域に必要な医療機能の確保が進められています。また、看護職員の確保に向けては2023年に「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」が改定され、全国でさまざまな取組みが進んでいます。
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■2026年度改定に向けた4つの視点

これらの状況を踏まえ、2026年の診療報酬改定では以下の4つの観点が示されています。

①患者の高齢化への対応
医療・介護複合ニーズを有する高齢者の増加が見込まれる中、「治し、支える医療」を実現する観点

②生産年齢人口の減少
看護師の新規養成数がピークアウトするなど、職種によっては担い手の減少が見込まれる中、医療DX、タスクシフト・シェア等の推進により、生産性の向上を図り、地域の医療提供体制の維持・確保する観点

③急性期機能の維持・確保
 多くの医療資源を要する手術等が減少し、急性期病床の稼働率の低下等により、医療機関の経営への影響が見込まれる中、急性期医療や救急医療を提供する体制を構築する観点

④特に医療資源が少ない地方部の課題
 都市部と地方部で医療提供体制に関する課題が異なる中、特にすでに人口減少がより進んでいる過疎地域等において、拠点となる医療機関からの医師の派遣や巡回診療、ICTの活用等の様々な方策により、地域で不可欠な医療機能を確保する観点
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このように、今回の資料はこれまでの取り組みを包括的に整理した貴重な内容です。まだまだ総論的な内容にはなりますが、次回の改定議論の前提を抑えておく上で、医療機関や経営層の皆さま、支援するコンサルタントにとっても、一度目を通しておくことをおすすめします。

引用資料:中央社会保険医療協議会 総会(第610回)2025年6月25日 資料『総-4医療提供体制等について』
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001508722.pdf


執筆コンサル

森田 仁計

森田 仁計

医療総研株式会社
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