病医院経営の今をお伝えするコラム
コンサルタントの視点から:「両立支援等助成金を活用していますか?」

1.はじめに
今年もクライアント歯科医院の評価面接に立ち会った。
多くの歯科医院に産休や育児休業に入る歯科衛生士や歯科助手がいた。歯科医院には出産適齢期の女性が多いので当然だが、医院経営にとっては交代要員の確保が難しく大問題である。
このため、厚生労働省は事業主と従業員が仕事と家庭生活を両立できるように「両立支援等助成金」を設けている。特に、「育児休業等支援コース」には、育休取得時・職場復帰時の補助金があり、女性が大部分を占める歯科医院にとって「使える助成金」だと考えられる。
ところで、貴医院ではせっかくの助成金を活用しているだろうか。
2.両立支援等助成金とは
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は、従業員の仕事と家庭の両立支援に積極的に取り組む事業主を支援する制度である。育児休業の取得や職場復帰支援に対して支給される。
歯科衛生士や受付助手が妊娠した場合、以前は退職してパートタイマーになるケースが多くみられたが、今では歯科衛生士も受付助手も優秀な人材の採用が難しくなり、募集広告費も人材紹介料も高騰している。また中途採用で最初から教育するのはベテラン職員の業務負担が大きく、医院全体の生産性の低下に陥る。
このため妊娠した職員に産休・育児休業を取得させて復職させるほうが得策と判断する歯科医院が増えている。このときに、育休取得時・職場復帰時の補助金が使える。
育児休業等支援コースのA.休業取得時助成金 30万円は、育休を取得させたときに医院に支給される。
また、B.職場復帰時助成金 30万円は、職場に復帰させたときに医院に支給される。
どちらも1医院に2人まで、常勤職員2名でも、常勤職員1名、パートタイマー1名でも支給される。ただし、パートタイマーは一週20時間以上勤務して雇用保険に加入していることが条件である。
育児休業等支援コースは、「育休復帰支援プラン」を作成し、このプランに沿って育児休業を取得した労働者が生じた場合に支給される。「育休復帰支援プラン」は厚生労働省のホームページから策定マニュアルをダウンロードできるので参照して策定できる。
産休から育児休業を終えて復職させるには1年半程度の期間がかかる。
このため、非常勤職員を採用しようとするがなかなか採用できない。残った職員の業務負担が増え、時間外労働や休日出勤で補い、繁忙手当を支給する事態に陥るケースも多い。
このような事態になったときに、①新たに代替の職員を採用する場合、②既存の職員に対して繁忙手当を支給するなどした場合にも、助成金が得られる。
さらに、職場復帰後支援が設定されている。
例えば、育児休業から復帰後に、障害を持って生まれた、病弱、夜間保育が必要などの場合や、看護休暇や保育サービス費用が必要となった場合に30万円、制度利用時には看護休暇1時間1,000円、保育サービス利用は費用の2/3が支給される。
3.まとめ
ハローワーク関連でも、キャリアアップ助成金や教育訓練給付金など多くの助成金がある。大型歯科医院ではハローワーク関連の助成金を全て申請すれば、年間100円近い金額になるケースがある。
社労士に助成金の申請代行を委託すると2割~3割の手数料を請求されるが7割~8割が医院に入るため、助成金で顧問料を賄えるケースも考えられ、経営改善効果は大きいと考えられる。助成金の申請代行を行っている社労士事務所は沢山あるので、WEBで検索していただきたい。