病医院経営の今をお伝えするコラム
医療機関の質改善活動支援~PDCAからCAPD~

1.PDCAとCAPDの違いと比較(メリット、デメリットなど)
*CAPDサイクルとは、PDCAの順番を変えて効率化したマネジメントシステムの一種
*「計画と実行、改善を繰り返して組織を目標に向かって機能させる」
*仮説・検証のサイクルを回すことで目標達成や生産性向上などを目指す。
*PDCA
「P(計画)→D(実行)→C(振り返り)→A(改善)」まず初めに計画を立てる。
*CAPD
「C(現状把握)→A(改善)→P(計画)→Do(実行)」最初は問題や課題など現状を把握する。
C:Check(現状把握、振り返り)
現状の問題点の把握や振り返り、評価を行う。
A:Act(改善)
Cで把握・評価した内容をもとに改善案を検討。
P:Plan(計画)
Pでは、Aでの改善案をもとに具体的な計画を立案。
D:Do(実行)
Dでは、Pで立てた計画に基づいて実際の業務を実行。
【PDCAは上手く回らない場合がある】
1.最初のステップであるP(計画)が難しい。
2.計画の立案に時間がかかり過ぎる。
3.立案できてもD(実行)以降のステップに繋げられずにつまづいてしまったりする。
4.現状把握がないまま計画を立てることになるため、無理がある計画になりやすい。
5.データ不足などによってD(実行)の後にC(振り返り)やA(改善)まで繋がらない。
6.現在は先行きの予測が困難な時代で、P(計画)にあたって先行きの予測が重要なPDCAでは
対応しきれない場合がある。
7.PDCAのA(改善)では、最初に立てたP(計画)とそれを実行した結果との隔たりを改善
していくが、Aから次のサイクルのPへの隔たりが大きく、移行するのが難しい場合があり、
サイクルが一周しただけで終わってしまいやすい。
【PDCAと比較したCAPDのメリット】
*気軽に着手でき、サイクルを回すスピードを上げられる。
1.CAPDではスタートがC(現状把握、振り返り)であり、現在の業務や体制を振り返り、
問題点や課題を把握することから始まる。
2.CAPDはPDCAよりも気軽に始めやすくなっており、「まずはやってみる」ことを重視した
アクティブなフレームワークであるといえる。
3.CAPDの気軽に着手できる点は、改善のサイクルをより素早く回せるというメリットにも
繋がる。
4.継続的に改善のサイクルを回しやすい。CAPDは、その着手しやすさから実践しやすくなって
いる。
5.CAPDのAでは把握した問題点の改善案を検討するため、AからPへとスムーズに進むことが
できる。
6.CAPDではサイクルの最初に現状把握をした上で、改善案の検討や計画立案に進む。
7.CAPDでは継続的に改善のサイクルを回しやすくなっている。
【質改善活動を支援するツール(病院機能評価等)】
1.質改善活動では、院内を振り返り(C)、現状を認識し(A)、改善策を検討し(P)、実践(D)
していくというサイクル。
2.医療の質の向上と安全の確保に積極的に取り組んでいる病院に、有効なツール。
3.患者が安心して医療を享受でき、職員が働きやすく、地域に信頼される病院づくりに貢献する。
(1)地域医療の質向上に寄与するための「評価」
(2)医療の質改善を促進させるための組織への「支援」
(3)医療の質改善を促進させるための個への「教育」
4.とても良いツールであるが、5年に1回のイベントになる病院が多い。
【まとめ】
*PDCAでもCAPDでもどちらのマネジメントシステムを採用するかは、病院の状況次第。
*達成し易いものから取組みを開始する(最初から達成困難な目標を掲げた場合には職員の
モチベーションが低下し、取組みが止まってしまう可能性がある)。
*評価しやすいように、文章ではなく可能な限り数値化すること。
*病院機能評価は、CAPDサイクルである。
