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歯科経営
2025年11月26日

マーケティング・ヒント:「受付担当者を医院の強みにする」

執筆した医業経営コンサルタント

木村  泰久

木村 泰久

(株)M&D医業経営研究所
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皆さんの医院では、患者さんが最初に接する「受付担当者」の重要性をどのくらい意識されていますか?
「治療技術で勝負したい」と思う先生方が多いようですが、実は患者さんにとって「この医院にまた来たい」と思うきっかけは治療内容だけではありません。笑顔で名前を呼んで迎えられたとき、ちょっとした不安を受付で解消してもらえたときなど、“ここなら気持ちよく治療が受けられる、安心して通える”という印象が「この医院に通おう」という判断に大きく影響しているのです。

その印象を作るのが「受付」です。初診の患者さんに最初に顔を合わせるのは「受付担当者」ですし、通院が続く患者さんに毎回声をかけてくれるのも「受付担当者」です。
近年では、自動精算機の普及で会計業務は効率化され、マイナンバーカードも普及し、保険証確認はスムーズに行える時代になっています。そのような中で「受付担当者」に求められるのは、人にしかできない応対、つまり、心のこもった接遇です。

しかし、歯科医院の受付は、ホテルや百貨店のように「受付専任」ではありません。予約管理、会計、カルテ入力、電話応対…。限られた人数で多くの業務をこなす必要があります。その中で、患者さんに安心感を与え続けることは簡単ではありません。だからこそ、ちょっとした工夫が医院の印象を大きく変えるのです。以下の3つを意識するだけでも医院の強みになります。

① 患者さんの顔と名前を覚える:予防歯科が広がる今、3か月ごとに通う患者さんは医院のVIPです。「○○さん、いつもありがとうございます」と声をかけられると、患者さんは「この医院は自分を覚えてくれている」と感じます。逆に名前を呼ばれなければ、ただの一患者として扱われていると受け取られてしまうかもしれません。受付担当者が患者さんの名前を記憶することは簡単ではありませんが、スタッフ同士で情報を確認することで継続できます。

② 接遇マニュアルを整備する:例えばこんな場面を想像してみてください。患者さんと次回予約を相談している最中に、電話が鳴ったらどうしますか?患者さんを優先するので電話には出ないと考える方もいるでしょう。しかし、実際には電話の多くが新規予約や予約変更です。つまり、その電話に出なければ医院の機会損失につながります。理想的なのは、次回予約を相談している目の前の患者さんに「失礼いたします」と断り、3コール以内に電話を取り、要件を済ませてから「お待たせして申し訳ありません」と戻る流れです。これで、丁寧さと機敏さを両立できます。
こうした応対をマニュアルとして整備しておくと誰が受付に立っても同じ水準で接遇ができます。

③ 最新システムを味方につける:会計業務は自動精算機が担う時代になりました。保険証確認もマイナンバーカードでスムーズに行えます。つまり、受付担当者は、事務作業から解放され、患者さんと向き合う時間に集中できる環境が整ってきたということです。だからこそ、患者さんに「お大事になさってください」「今日は寒いですね」といった一言を添える余裕を持つことができます。この小さな声かけが、他院との大きな差になります。

歯科医院にとっての受付担当者は、単なる事務スタッフではなく「医院の顔」であり「医院の強み」です。工夫を積み重ねることで、患者さんは「また通いたい」と思うようになります。結果的に予防来院・自費治療・紹介につながり、医院の安定経営へ直結します。まず、「名前を呼んで声をかけること」から始めてみましょう。小さな積み重ねが大きな成果につながります。

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