病医院経営の今をお伝えするコラム
熊本県医療法人協会事務長会の取り組み

事務長会は「熊本県医療法人協会会員病院(2021年7月現在76会員病院)の事務長相当職により組織し、医療機関経営に資する情報交換および会員の資質向上を目指す」ことを目的に1980年に設立されました。現在、私は事務長会副会長を拝命しており、会長・副会長および幹事・事務局ならびに会員と協力しながら目的を達成するために定例会(月1回)、病院事務管理研究会(年1回)、病院経営調査(年1回)、地方例会(年1回)、講演会等を実施しています。
また、若手事務職員で構成する下部組織として病院運営勉強会、医事課勉強会、熊本県病院広報を考える会、総務・経理勉強会、システム担当者会議を設置し、次世代の事務長育成につなげています(表)。
【特徴ある事務長会の活動】
ここで、事務長会として特徴のある内容・組織について何点か紹介します。
(1)病院事務管理研究会
毎年8月に、会員病院の若手事務職員が日頃の取り組み成果や事例を発表する場として開催しています。例年15演題前後の発表があり、会員病院からは300人を超える事務職員等が参加しています。他院の取り組みなどを聞ける機会であり、各病院の刺激にもなっています。
研究会終了時に「もう少し詳しく聞きたい演題」のアンケートを取り、希望の多かった演題・演者にさらに掘り下げて発表を行う機会・仕組みもできています。次世代事務長を目指すステップにっています。
2021年8月21日(土)に開催した第15回「病院事務管理研究会」は事務長会初の「オンライン病院事務管理研究会」で、200人以上の申し込みがありました。参加者の皆さんに「伝わる研究会」になればと、事務長会役員会とシステム担当者会議が一体となって運営しました。2年ぶりの開催でしたが、2年間の蓄積された多岐にわたる素晴らしい演題がそろい、演者も堂々とした発表で、日頃の取り組みや考えがよく伝わってきました。
(2) 病院経営調査
病院の施設概要、施設基準・加算、職種ごとの人件費・手当、購入・徴収金額、経営調査、維持管理費などを取りまとめ、事務長会独自のベンチマークとして活用しています。ライバルである各病院に対して手の内を示すなど、他県の事務長会では考えられないとよく言われます。会員病院全体で医療を盛り立てていくとういう考えで、自院の組織力アップ、病院運営の参考になればということで調査しています。
調査はかなりのボリュームがあり、部下育成の一つとして若手事務職員が作成していることが多いようです。私も事務長になるまで何度も作成しましたが、最初は言葉の意味も分からずストレスでしかありませんでした。右手に経営辞書、左手に医療辞書、正面には診療報酬の解説集や点数表、施設基準、決算書・財務諸表……。毎回苦悩しながら作成しました。おかげで経営指標や施設基準、各種経費等の数字を見てもアレルギー反応がなくなったのは、この時の奮闘があったからこそかもしれません。
(3) 熊本県病院広報を考える会
事務長会会員病院の広報に携わる担当者の連携を図ることにより、それぞれのスキルアップ等につなげ、広報業務の質向上、広報の重要性の認知度を高めることを目的とし、2017年度から事務長会の下部組織として活動を開始しました。勉強会だけでなく、「広報カフェ」といわれる気軽に情報交換や交流ができる場としても力を入れています。
私は初代の担当事務長になり、各病院の広報担当者と接する機会が増えました。いかにお金を使わず自院を院内外に知ってもらえるか、アイデアと工夫だけで広報をしている広報担当者が多く存在していました。病院としてはとてもありがたい発想で、そのことがきっかけで、私は今でも「お金を使わず効果的な広報をする」ということにこだわり続けています。
産労総合研究所発行 病院羅針盤 2021年12月15日号掲載分一部改編
