病医院経営の今をお伝えするコラム
病床機能報告をミクロ分析する ① (入棟前・退棟先の場所と退院後の在宅医療実施予定の患者数と割合)
令和6年度実績の病床機能報告が、7月上旬に公表されました。今後新たな地域医療構想が策定されることから、その有用性の再確認を試みたいと思います。
最初に、松田晋哉先生が提唱された「病棟機能別の入退棟経路」を共有させていただきます。(上図を参照) 10年以上経過した現在も色褪せることなく、ミクロ分析の際に、私にとって大切な“教科書”となっています。
次に、医療機関・病棟別の入棟前・退棟先の場所(割合)を実際に見てみましょう。(下図を参照) Excel票は病棟票の様式1を加工したもので、「赤色セル・白色文字」の列は、私が計算式を入れて挿入したものです。A・B・Cの3つの急性期病院を比較したものですが、紙面上の都合から、A病院のみ病棟別までの実績を記しました。
A・Bの2つの病院は、「家庭」から入棟して「家庭」へ退棟する患者割合が高いことから、急性期機能を持つ病院であることが判ります。一方、C病院は、「家庭」から入棟して「家庭」へ退棟する患者割合が高いとは言えません。また、「介護施設等」から入棟して「介護施設等」へ退棟する患者割合が一定程度あることから、急性期機能においてA・Bの2つの病院に劣ることが推察されます。
そして、A病院を病棟別まで見てみますと、病棟名:集中治療(入院料:ハイケアユニット1)の病棟では、「院内の他病棟」から入棟して「院内の他病棟」へ退棟する患者割合が高いことから、高度急性期機能を持つことが判ります。また、神経内科、脳外科が主に使用する4東病棟と整形外科が使用する5西病棟の「他の病院・診療所」へ退棟する患者割合が高くなる理由として、脳梗塞や大腿近位骨折等の患者が、近隣の回復期リハ病院へ転院していることが考えられます。
加えて、退院後の在宅医療への移行率を見てみましょう。(下図Excel票の右側6列を参照) A・Bの2つの病院は、在宅医療への移行率は夫々8%、4%と低いことから、入院患者の高齢化がさほど進んでいないことが推察されます。特に、A病院の4%は著しく低く、手術数が多く、診療単価の高い急性期病院であることが窺えます。一方、C病院の移行率は23%と高く入院患者の高齢化が進み、診療単価の上昇が期待しづらいことから、医療機関の機能について、今後再考が求められるかも知れません。
以上、病床機能報告オープンデータの入棟前・退棟先の場所と退院後の在宅医療実施予定の患者数と割合から、病院(病棟)機能を分析してみました。DPCデータ(疾患、手術あり・なし等の情報)の分析と併せて、構想区域内に所在する夫々の医療機関の特徴や課題を把握して行きたいと考えています。

